みるく工房飛鳥通信 西井牧場のasukaの独り言
牛歩の遍歴 三十五歩目
農家実習の日が近づいてきた土曜日の昼から日曜日は休みが取れるとはいえそれはそれなりの準備をしなければと思っている矢先にC子から電話が入った「もう、準備ができたんか、一緒に買い物に行くか、何処へ実習に行くか教えてほしいな」と言うことでC子と会うことになった。その当日「なぁなぁ、先に実習に行く所の道を教えて」って何を考えているんや俺は遊びに行くんじゃ〜ないんやど・・・と思いながら車を実習先の方に向かっていた。
そこは宿舎より車で10分程の所の山間にある小さな酪農家で搾乳牛が10頭程しかおらずその当時は近くの家庭に牛乳を瓶に詰めて配達をしていたのである、もちろん残った牛乳はメーカーにだしていたけど・・・「なんぼほど寂しい所やねん」とC子は呟く「せやけど、山あいだけど町まで10分もあれば出られるさ」と軽く返すと「町って言っても大阪とは違うわ」と言い返す、そんなのあたり前や思いながら沈黙が続いた。
C子と別れ際に「まぁ元気で実習してや、また覗きに行ったるわ」と相変わらずのわがまま振りで、まぁそこがC子の良い所かも知れないが・・・
農家実習の当日、朝から農家へ直接入っていった、玄関を入るとカウベルがズラリ並べてありあちこちにスイスの民芸品が置かれ写真が額に入れられていた、おじいさんが出て来られスイスの思い出やおもいれを語り始めた、そうこうする間に昼になってしまいやっとの事でこれから下宿する部屋へ案内をしてもらったが、そこは牛舎の二階で一部屋だけ改造して作ってあった、暖房設備は無くここは非常に寒く思われた。
昼から実習に入ったが何からして良いのや分からず説明を聞きながら言われたとおり仕事をこなすのみだった、ここでは椎茸の栽培も行われていて原木の移動や古い腐った木を片付けたり全く酪農とは関係ない仕事で原木の重いのには辛い物があった。
牛の仕事は頭数が少ないので北海道に比べて楽勝で仕事をこなした。
前回に書き忘れたが農大を卒業後にスイスへ1年間留学すると言うことでスイスとミッションを持っている某高校の理事をしておられるこちらに来た訳である。
その為、週1回金曜日に某高校でドイツ語を教えている先生に特訓でドイツ語を習いに三重県の名張市まで行くことになっていた。