みるく工房飛鳥通信 西井牧場のasukaの独り言
牛歩の遍歴 三十三歩目
そう言えばこの時が初めて飛行機に乗ることになるのだ・・・何しろあの飛鳥の地からこんなに遠くまで来たことが無い俺だったのだから・・・C子が帰る時にそんな格好で飛行機に乗るのかと言った言葉が今では自分の立場になってしまった、Gパンにトレーナー、そしてスニーカーだ、あぁこんな格好で断られたどうしょうなんてあの当時は考えたもので今では笑い話にしかすぎない。
確か、C子が言っていたな日航のカウンターへ行ってキャンセル待ちを聞いたらいいって、
何だか不安だけが俺の前を通り過ぎるような、こんなことやったらもっとC子に聞いておけば良かった今更思ってもしかたがない、C子に電話をして詳しく聞いてみるかな、いや、やめとこ何か馬鹿にされるような気がする俺にも男のメンツがある、とにかくカウンターへ行ってみることにした。空港ロビーの長い長い通路を重い荷物を引きずるように歩いて日航のカウンターを探した、
遠くにあの赤い鶴のマークが目に入ったあっあそこやな「えぇ〜い、こねんなったら度胸を決めて行くか」とおそるおそる近づいて行った、C子が言っていたように訊ねるとなんと簡単に番号札取り出し呼び出しがあるまでお待ち下さいとのこと、あまりにも簡単であっけにとられてしまったが、待てど待てどなかなかアナウンスされず一時間は過ぎてしまった「弱ったな、何時になったらキャンセルの順番が回ってくるのだろうか、今日中に乗れるのか」とまた別の不安が出てきた、今のうちにC子に一度電話をいれとくかな、でもロビーを離れた時に順番が回って来たら大変やな、もうちょっと待ってみるかと思っている矢先に呼び出しがあった、あわててカウンターへ行って搭乗手続きを済まし搭乗口へ行くと急いで下さいとのこと、なんだか俺が最終だったみたいで係りの人に付き添われ気がつくともう飛行機の中へ入っていた、しまったC子に電話をしている余裕がなかった、あの時に電話をしとけば良かったと後悔しても後の祭りだ・・・
席に座ると同時に飛行機は動き出し直ぐに離陸を始めた、初めての離陸の感覚をゆっくりと味わうことも無く一路大阪伊丹空港へとあっさりと飛び立った、夕日を浴びた帯広の下界を見ながらここ数日間の思いにしたりながら伊丹まで2時間の空の旅だった。