みるく工房飛鳥通信 西井牧場のasukaの独り言
牛歩の遍歴 三十一歩目
友達のNが一日休みを貰えない事を主人に言うと「よっしゃ、休み取れるように言うてやる」と力強い返事が返ってきた、翌日TからNも休みがOKだと電話があり車もTの農場の主人が貸してくれると言うことだ。
数日後の休みをとった朝、Tが朝早くから迎えに来てくれた「おぉ、久しぶりや元気にしてるか」の明るい言葉にTがいかに楽に研修をしているのかその笑顔で分かった、Nを迎えに行くとNは表で待っていた、その姿は何気無か力のないたよりなさそうで疲れきっている様子だった、Nは車に乗り込むと同時に今までのうっぷんをはらすかのようにたてつづけで話始める「おい、あこの農場はめちゃめちゃにこき使いよる、俺は労働者ではないんや、研修者やで・・・・」しばし、Nの気が治まるまで俺とTはNの言うがままにあいずをうつしかなかった、車は北海道の真っ直ぐに伸びた道をひたすら走り続ける。
Nの話が一段落するとTが「最近、釣りばっかりや、干草の仕事も終わったし主人が釣りが好きで一緒に行くんや」と一言、俺もNのこの待遇の違いには唖然とした、聞くところによると、Tが研修している農場はブリーダーで繁殖用の雄を飼育している昔からの名前の通ってかなり有名らしい、経営的にかなり余裕のある農場だそうだ、俺とNがはいっている農場は農協が開拓し賃貸をしてリースで支払っているのでかなり苦しいようだ。
この違いは仕事の内容ですぐに分かる、これが北海道なんやと考えさせられた・・・
突然、Tが「何処へ行こうか」って言い出した、「おい、考えてくれてるのでは無かったんか、とりあえず東に向かって走ろや」と俺は言う、網走まで後100Kmの標識「そこまで行ったら帰ってこれへんで、地図見て考えるか」「車を止めて今日の行く所の作戦会議をしようや」
結局、一般的な観光コースを選んだものの、今では確か摩周湖や熊牧場やったかあまり記憶には残っていないのが現実だ、とりあえずみんなが集まって一日愚痴の吐き放題で帰って来たのは夜も遅く10時を過ぎていたのは確かだ。