みるく工房飛鳥通信 西井牧場のasukaの独り言
牛歩の遍歴 二十五歩目
梅雨も終わり、何が、どうこうと言うこともなく日々が過ぎてしまう、一日の決められた生活パターンの繰り返しでふと気が付くともう夏休みが間近に迫っていた、そんな時、夕方近くに思いかけずにC子がやって来た、今度は車なので「いつの間に車、買ったん」と聞くと「これ会社のやねん」って、近くまで仕事で来たのでこちらに寄ったらしい、「まぁ、入れよ」と言いながら官舎に入ると「よう、こんな所に住んでるな、ゴミとほこりだらけやんか、おまけにゴキブリまで飼ってんの」といつも調子で話かけてくる、そう言えばここ何日かは掃除もしたことがない事に皆気がついた。
C子がホウキを持って廊下をはきだした、「おい、今日は実習で疲れているのやから今度にしようや」って俺が言うと「そこに座ってて」とさっさと掃除を始めた、皆が見るにみかけて掃除を始めた、「夕ご飯は、まともに食べてるの、今日は私が作ってたるわ」と言いながら冷蔵庫を開けて残りものの野菜や肉を出して料理を始めた、俺達はやり始めた掃除をすばやく終えて、飯のできるのを見守っていた、「今日はまともに食べられるな」「たまには栄養つけないとな」とめいめいに騒いでいるとお待ちかねの料理が出来上がってきた、今に思えばその時のメニューは記憶に無いのでそうたいした事ではなかったのだろう。
雑談のうちに夕ご飯も終え楽しい時間はすぐに過ぎてしまう「もう、かえらなければ」ってC子が席を立つ、「今度、京都まで夜行列車を見送りに行くから、」「ちゃんと見送ったんねんからありがとうと思いや」と言い残して帰っていった。
数日後、夏休みに突入だ、と言っても別にすることも無くのらりくらりの毎日を過ごした、
7月も末になり、いよいよ北海道への旅立ちの日が来た、俺はあれのこれもバッグに詰め込み大きな荷物を持ち、しばし故郷を後にする事になる。