みるく工房飛鳥通信 西井牧場のasukaの独り言
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朝から猛烈な寒波だ・・・
木々は大きく揺れ、そのへんに散らばっている物は吹き飛ばされる。空の神様は何を怒っているのか、もう、クリスマスだと言うのにご機嫌ななめだ。 |
牛歩の遍歴 十三歩目
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ある日、明日は泊まりやでって言われた。何があったのか分からず一応、母親に今晩、学校で泊まるからって言い残して学校へ向かった。畜産の授業で豚舎へ行くと、すぐにその理由が分かった。「分娩」だ。親豚は横たわりお乳は張って、今にも産まれそうだ。初めての経験に興奮がおさまらない。その夜、宿舎で自炊して出産を待つ、夜中の2時頃だったか、突然、呼び起こされる「おい、産まれるぞ」いつの間にか眠っていたらしい。ふと我に戻り、豚舎へ急ぐ。おぉ、もう1頭出てるぞ、続いてもう1頭、次から次へと産まれてくる。さすがに慣れている管理人の人は素早くへその緒を消毒し産まれたばかりの赤ちゃんの牙をペンチで切る。これは、親豚の乳頭を傷つけないためらしい。そして、親豚のお乳の所に置いてやる。自然とは不思議な物で、教えていないにもかかわらずお乳にむしゃぶりつく。全部で何頭だったか忘れてしまったが、確か10頭位産まれたように思う。すべて無事に産み終わり一息ついたので、そのまま、また、眠りについてしまった。その朝、まだ、興奮がさめやらずで、もう一度、豚舎に行って見ると、産まれた赤ちゃんが行儀よく並んでお尻をこっちに向けてお乳を吸っているのを見て「ほっと」と一安心。 |
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農業高校では、自分にとっては初めての出来事が多く、興味をそそる事から畑仕事や果樹のせん定などの辛い事まで体験でき、その時は「イヤ」だと思っていたが、今、過去を振り返ると良き思い出になっているように思える。もうクリスマス、そう言えば2年生の時には北風の吹く中を彼女にプレゼントをわたすために家までバイクで走って行ったが、彼女は出かけていて留守だった。彼女が帰って来るまで待つことにしたが、30分、1時間と過ぎるたびにしだいに寒さが身体に突き刺さる。バイクのエンジンで暖を取りながら待っていたがもう夕暮れだ。寒さに耐え切れず遂に彼女の姿を見ることができずにヤケになってバイクを飛ばして帰った。その夜、彼女から電話があり「ごめん」の一言で、涙ぐみ思わず無言になってしまった俺、青春時代の真っ盛りだ。 |